睡眠時無呼吸症候群(SAS)

 2003年に起きたJR山陽新幹線での居眠り運転のトラブルを覚えていますか。
 そのときの運転手さんは、後に睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者であるということが判りました。

 睡眠時無呼吸症候群(Sleep  Apnea Syndrome/以下SAS)とは、睡眠中に呼吸がとまった状態(無呼吸)が繰り返される病気です。
 詳しくは、 「10秒以上続く無呼吸が、一晩(7時間以上の睡眠)に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起こること」 と定義されています。

  • よくいびきをかく
  • 昼間に強い眠気がある
  • 睡眠中にゼイゼイと息苦しそうにする
  • 睡眠中にときどき呼吸が浅くなったり遅くなったり、とまったりする
  • 夜によく目が覚める、トイレに行く
  • 熟眠感がない
  • 起床時に頭痛がある
  • 昼間に体がだるい
  • 集中力が低下している
  • 気分が落ち込む

矢印 これらは、無呼吸による睡眠障害と酸素不足が引き起こす症状です。

 SASには、無呼吸が起きる原因によって、大きく「閉塞型」と「中枢型」の2つのタイプに分けられます。
「閉塞型」は上気道が閉塞することによるもので、ほとんどがこのタイプです。
 健常人でも、仰向けでは舌根が重力で喉の奥に沈み込み(舌根沈下)、また睡眠中は喉の周りの筋肉が弛緩し、より気道が狭くなる傾向にあります。
 肥満者では上気道軟部組織に脂肪沈着が多く、さらに閉塞しやすい状態となります。
 ほか扁桃肥大、巨舌症、鼻中隔彎曲症、小顎症といった条件でも呼吸ができないくらいに上気道が閉塞してしまいます。
「中枢型」は呼吸中枢の機能が低下するために、呼吸筋の運動が停止して無呼吸を起こす場合を言いますが、頻度は少なく、心不全や脳血管障害の患者さんに見られます。

 肥満、小顎症、舌・扁桃腺肥大や耳鼻科疾患

 昼間の眠気度を評価するのに、“エップワースの睡眠スケール(ESS:Epworth sleepiness scale)”を用います。 
<エップワースの睡眠スケール>
 次のような状況で眠ってしまうことがありますか。
 0〜3の4段階で評価します。該当する程度に○をつけ、合計点数を付けましょう。

状 況

 
1. 座って読書をしているとき

0 1 2 3

2. テレビを見ているとき

0 1 2 3

3. 公の場で座って何もしていないとき

0 1 2 3 

4. 1時間続けて車に乗せてもらっているとき

0 1 2 3

5. 状況が許せば、午後横になって休憩するとき

0 1 2 3

6.座って誰かと話しているとき

0 1 2 3

7. 昼食後(お酒を飲まずに)静かに座っているとき

0 1 2 3

8.車中で、交通渋滞で2-3分止まっているとき

0 1 2 3

合計点数

   点

合計点が 9点以下 軽度の眠気 …10点以上が異常です

高血圧症などが心筋梗塞、脳卒中、突然死につながります

1. 自宅でできる検査
 自宅でできる検査として、パルスオキシメーターという器械があります。
 これは指先にセンサーを付けて、血中の酸素状態を測るもので,睡眠時無呼吸症候群の検査では睡眠中の血中酸素飽和度(SpO )を測ります。
 通常のSpO は95%以上に保たれていますが、無呼吸状態があると90%以下に落ち込んでしまいます。
 この状態(SpO が90%以下)が一晩、もしくは1時間にどのくらいの頻度かを測定し,より睡眠時無呼吸らしさがあるかどうかをみるものです。

矢印

保健管理センターにパルスオキシメーターがあります。貸出し、解析もできます。
お気軽にご相談ください。

2. 入院して行う検査
 ポリソムノグラフィー検査:睡眠検査で最も詳しく正確に診断することができる検査(ゴールドスタンダード)で、「睡眠状態」と「呼吸状態」をチェックします。
 前者で測定するものは脳波、筋電図(頤筋、下肢筋)、眼球(EMGのこと)で、後者で測定するものはSpO 、鼻口の気流、胸部の呼吸運動です。
 *簡易モニターとしてアプノモニターもあります。これは、鼻気流、心電図、気管音、SpO2を測定します。

1. <生活習慣の改善>
体重を減らす
飲酒を控える
精神安定剤・睡眠剤を控える
禁煙する
飲酒や睡眠薬は筋肉を弛緩させるので控えましょう。 
 睡眠中の体位の工夫:横向きになって寝ましょう。
鼻ポリープやアレルギー性鼻炎、蓄膿症などの鼻づまりを起こす病気は治療しましょう。

2. <nasal CPAP療法>
 睡眠時に鼻マスクを付けて寝ます。機器から一定の圧力をかけた空気を送り込むことで、軟口蓋および舌を押し上げ、気道を広げ、無呼吸を防ぐものです。
 すべての人が適応になるのではなく、apnea indexが20以上で、無呼吸に伴う睡眠時SpO2 低下や睡眠障害があり、日中の傾眠や高血圧、夜間頻尿、起床時頭痛などの症状がある方が適当となります。
 またapnea indexが20未満ですと、保険適応から外れます。

3. <口腔内装具(マウスピース)>
 症状がそれほど重度でない方に、口腔内装具/スリープ・スプリント(sleep splint)を用います。
 スリープ・スプリントを装着することで、下顎を前方に引き出すことにより気道の閉塞を解除し、無呼吸を防ぐものです。個々人の噛み合わせにより調整します。nasal CPAP療法に比べ、使い方が簡単です。
 しかし、@残存歯牙の不良、A広範な歯周囲炎、B高度の鼻閉、C高度(Mackenzie分類V度)の扁桃肥大、D明らかな顎形態異常(小顎症など)、E顎関節症、F自己管理不能な精神障害を有する方はスリープ・スプリントの適応外となります。

4. <手術的療法>
 アデノイドや扁桃、口蓋垂の肥大が原因で無呼吸となっている場合には、外科手術も有効な選択肢の一つです。

保健管理センターにパルスオキシメーター(睡眠時無呼吸症候群の検査機器)があります。
貸出しと解析も行っております。 
お気軽にご相談ください。

[鹿児島大学保健管理センター]