帯状疱疹とは 水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスが起こす病気のひとつです.下の表のように,このウイルスに初めて感染すると水痘(水ぼうそう)になりますが,水痘が治った後も,このウイルスは通常神経組織の一部に潜伏します.そして,ウイルスに対する体の抵抗力が低下した時などに,再活性化して,潜んでいた神経組織が関与する部分の皮膚に水疱を作ります.これが帯状疱疹です.水疱の分布は通常は体の片側に帯状になります.水疱が出現する部分に一致した神経痛が,水疱より先に出現したり,帯状疱疹が治った後に後遺症として残ることがあります.帯状疱疹の水疱の浸出液にも感染性があり,免疫のない人(抗体陰性者など)に感染すると水痘を引きおこします.
・は発疹
病像 | 年齢 | 病態 |
水痘 | 通常は小児 | 水痘帯状疱疹ウイルスの初感染 |
帯状疱疹 | 通常は成人(小児でもあり得る) | 潜伏していたウイルスの再活性化 |
もし帯状疱疹になってしまった場合は,ウイルスに対する抵抗力が低下しているわけですから,安静・休養が必要になります.通常はこのウイルスに有効な抗ウイルス剤の経口薬で治療することになります.治りにくい時などには,抵抗力を低下させる病気がかくれていないか調べる必要が生じます.
大学への出席について
年齢(歳) | 抗体陰性率(感染していない人の率) | その結果 |
~17 | 低年齢ほど高い | 初感染(水痘)の流行がある |
18~30 | 数% | 初感染は少ないがあり得る |
31~ | ほぼ0% | 初感染はほとんどない |
大学生が初感染を起こして水痘になることもあり得るわけですが(この場合は出校停止),大学内で水痘が流行する可能性は少ないと言えます.ところが,大学生の場合,教育実習で小さい子に接触したり,医療系の学生さんは免疫力が低下している患者さんのところへ医療実習に行く可能性があります.学校保健法では水痘に関しては出校停止の基準が決められていますが,帯状疱疹に関しては基準がありません.そこで原則的には医療機関への受診・治療に加えて以下のように対応すべきと思われます.
帯状疱疹発症時の状況 | 大学としての対応 | その他 |
医療系学生で実習中 | 院内感染マニュアルなどに従い自宅安静 | 治療後に水疱が痂皮化するまで |
教育実習中の学生 | 自宅安静 | 同上 |
その他の学生 | できるだけ安静.浸出液が露出しない場合は出校は可能 | 浸出液が露出する可能性があれば自宅安静 |
帯状疱疹かと思ったら 大学生や大学職員の場合,保健管理センターにご一報ください.